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行列の指数関数について(メモ)

行列の指数関数を考えます。

それは普通の指数関数のTaylor展開からの類推で定義できて
\[A \in M_n(\mathbb{C})\]
とするとき(\(M_n(\mathbb{C})\)はn次複素正方行列全体の集合)
\[
\exp(A)=\sum_{k=0}^\infty \frac{(A)^k}{k!}
\]

で定義されます。

これがうぇるでぃふぁいんどであるかを確かめたいのですが、

一気にはできないので、ちょっとずつ考えていこうと思います。

始めに行列の直和の記法を導入します。

行列が

\[
A=\begin{pmatrix}
A_1&&&&\large{O}\\
&A_2&&&\\
&&\ddots&&\\
&&&\ddots&\\
\large{O}&&&&A_r\\
\end{pmatrix}
\]

という形になっているとき(ブロック対角型)であるとき
\[
\begin{align}
A&=A_1\oplus A_2\oplus\cdots\oplus A_r\\
&= \bigoplus_{i=1}^{r}A_i
\end{align}
\]

と書くことにします。

さて線形代数の結果から、任意のn次複素正方行列\(A\)に対して

\[
\begin{align}
P^{-1}AP=\nonumber &J(\lambda_1,k_{11})\oplus J(\lambda_1,k_{12})\oplus \cdots \oplus J(\lambda_1,k_{1s_1})\\
\nonumber &J(\lambda_2,k_{21})\oplus J(\lambda_1,k_{22})\oplus \cdots \oplus J(\lambda_2,k_{2s_1})\\
\nonumber &\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots\\
&J(\lambda_r,k_{r1})\oplus J(\lambda_r,k_{r2})\oplus \cdots \oplus J(\lambda_2,k_{rs_1})\\
\nonumber\\
=&\bigoplus_{1\le i\le r,1\le j\le s_i}J(\lambda_i,k_{ij})
\end{align}
\]

となる正則行列\(P\)が存在します。各\(J(\lambda_i,j)\)は

\[
J(\lambda_i,j)=
\overbrace{
\begin{pmatrix}
\lambda_i&1&0&\cdots&&&0\\
0&\lambda_i&1&0&\cdots&&0\\
&&\ddots&&&&\\
&&&\ddots&&&\\
&&&&\ddots&&\\
0&\cdots&\cdots&\cdots&\cdots&\lambda_i&1\\
0&\cdots&\cdots&\cdots&\cdots&0&\lambda_i
\end{pmatrix}}^{j}\:\text{(\(j\)次正方行列)}
\]

という形の行列です。

このとき

\[
\begin{align}
P^{-1}A^kP=&\left(P^{-1}AP\right)^k\\
=&\left(\bigoplus_{1\le i\le r,1\le j\le s_i}J(\lambda_i,k_{ij})\right)^k\\
=&\bigoplus_{1\le i\le r,1\le j\le s_i}\left(J(\lambda_i,k_{ij})\right)^k
\end{align}
\]

が成り立ちます。

よって、行列の指数関数はジョルダン標準形を用いて書くことができて、

\[
\begin{align}
\exp(A)&=\sum_{k=0}^\infty \frac{(A)^k}{k!}\\
&=\sum_{k=0}^\infty \left(\displaystyle\bigoplus_{1\le i\le r,1\le j\le s_i}\frac{\left(J(\lambda_i,k_{ij})\right)^k}{k!}\right)\\
&=\displaystyle\bigoplus_{1\le i\le r,1\le j\le s_i}\left(\sum_{k=0}^{\infty}\frac{\left(J(\lambda_i,k_{ij})\right)^k}{k!}\right)\\
&=\displaystyle\bigoplus_{1\le i\le r,1\le j\le s_i}\exp(J(\lambda_i,j))
\end{align}
\]

となります。

よって行列指数関数の性質を調べるには、各ジョルダンブロックの行列指数関数について調べればよいことになります。

つづきはまた